腹黒王子様は、孤独なシンデレラに愛を抱く。

「ほら、そーゆ顔すんじゃん。こんな婚約者持った俺もかわいそーだよ。毎日誘惑と闘ってんのに、横で平然と寝るし」

「そ、それは……」

「嫉妬させたい? 悪いけど、これ以上俺が嫉妬するってことは、蓬を監禁するってことと同義だからね?」

「……!」



この人の声には、中毒性がある。

甘くて、するりと頭に入ってくる声。

まるで、他の音を私の耳に入らせないようにしている。



「ね、俺は愛してるけど、蓬は違うの?」



まるで、私の答えをわかっているかのような質問。

絶対……わかってるくせに、聞いてくるなんてズルい。



「私も……愛してます……!」



もうどうにでもなれ精神で、顔を手で覆いながらそう言った。

すると、翠さんは口を開いた。



「俺も、蓬のこと世界一好き。だからもう、あの男とは関わんないでね?」

「……わかりましたよー……」



“世界一好き”だなんて、よくもそんな恥ずかしいことを恥じらいもなく言える……。