「す、翠さん!」
「なに」
「ちょっ、やめ……ん……っ!」
首に顔を埋めてキスしてきた。
いつもの翠さんより、なんか、色気がすごい。
「翠さん、怒ってますか?」
「当たり前でしょ。前もこのやり取りした。怒られるってわかってんなら最初から大人しく言っとけ。まあでも、言わないなら折れるまでお仕置きかな」
「んっ……!?」
口の中を刺激してくる大人のキス。
まるで貪るように、食べられるように。
いつもの翠さんじゃなかった。
優しくて強いキスじゃなかった。
ただ、本能のままに食べている感じ。
「何その顔ー。俺こう見えて興奮してるんだけど。ま、それは蓬のほうもそーでしょ? こんなえっろい顔しちゃって」
「っ〜……!」
耳にふっと息を吹きかけられて、私は体をよじった。
寮に帰ってきた瞬間に押し倒されるなんて、私は危機感がなさすぎる。
こうなるってわかってたのに……。



