気づけば、私はベランダに出ていた。
綺麗な満月だった。
あのときと同じだ。
橙華が閉じ込められた、最悪の思い出。
空には綺麗な満月が浮いていて、気づけば月はなくなる。
「幸せ、か……」
橙華がそう言うってことは、私の生きる価値はもうない。
どうせ私は地獄に落ちる。
今ならまだ、橙華たちの中の綺麗な私で死ねる。
「っ……」
何を、躊躇っているんだろう。
汚い世界しか知らなかった私は、上辺だけ綺麗な世界を知ってしまった。
だから、逃げたくない。
「こんなのは、もうやめよう」
生きる価値がないと感じるのは、生涯変わらない。
でも、死ぬのは……。
『お姉ちゃん!』
『蓬』
大切な人を、見送ってからにしよう。



