【side橙華】




あの事件で、私はお姉ちゃんの痛みを知ったと思っていた。

でもそんなのは、お姉ちゃんの痛みの半分もなかったって……実感することになる。



「じゃあ、開くよ」



何の涙かはわからないけど、泣いている和葉がおかしいと思った。

事の始まりは、和葉に『荷物整理を手伝って欲しい』とメッセージが届いたことだった。

本当は戻りたくなかったけど、九条家に戻った。

片付けるのは自分の部屋で、いらない物をダンボールに詰めて欲しいということだった。

和葉はお姉ちゃんの荷物を詰めるといい、お姉ちゃんの部屋にいた。

そのあと、聞こえてきた泣き叫ぶ声。

その足元には、手紙があった……。



「「「!!」」」

「なに、こ、れ……」



三つ折りの手紙の上の部分を開くと、そこには、『遺書』と書かれていた。

そこで、私は目を見開いて息を呑んだ。

驚きのあまりフリーズして、手紙を開けなかった。