「大丈夫? 他に痛いところある?」
「大丈夫です」
またもや保健室で翠さんに手当をしてもらう。
でも、何か違う。
……怒ってる?
「翠さん……怒って、ますか……?」
すると、翠さんが触れるだけのキスをしてきた。
目を開くと、真っ黒な目が真正面にあった。
「逆にさ、なんで怒ってないと思うの」
「え……」
「俺以外の男に胸触らせる? 蓬の危機感バグってんの?」
「そ、それはっ!」
翠さん、嫉妬……?
でも、これは嫉妬とは違う気がする。
「俺以外の男に、触らせんなよ」
「えっ」
「綴にもさあ、ハチマキ巻いてあげて? しかも顔真っ赤にして」
「だから、それは……!」
弁明しようにも、翠さんが止まってくれない。
でも、そうだ。私が悪い。
婚約者がいるのに、ましてやもう少しで結婚するのに、安易に触らせて。



