『次の競技は綱引きです。選手の皆さんはグラウンドに集合してください』
玉入れは終わり、次もまた私が出る競技になった。
今回は私だけで知り合いは一人も出ない。
「うわ、マジ美人……」
「近くで見るとやっぱちげーな……」
ただファンに囲まれているだけ。
綱引きはクラスの半分が出るから橙華と一緒になれると思ったけど、女子の大半は出たがらなかった。
その理由が今はわかる。
思春期男子にキモい目で見られるからだ。
「マジ可愛い」
「それな。でもどっちかっていうと美人系だぜ。一回でいいから付き合ってほしー」
まあなんか嫌な予感はしてた。
というか、嫌な予感しかしなかった。
女子が私を薦めて自分たちは出ない。いわゆる囮に使われたようなものだ。
いつも囲んでくるくせに、すぐ嫌なときは押し付ける。
……せめて、橙華と一緒だったらよかったんだけどな……。



