『よーい、始め!!』
かけ声がかけられ、玉入れが始まった。
手に持つ玉をカゴに入れるという簡単な作業。
『おお!! 一年生組の玉が一番か!? さすが元バスケ部の九条さん! 的確にボールを入れている!』
いやなんで私の実況するの?
絶対女子は綴か冬月さん、翠さんを見ている。
私を見ているのなんか、誰もいないのに。
「お姉ちゃーーん!! 頑張れーー!!」
「!」
声が聞こえて振り返ると、橙華が満面の笑みで手を振っていた。
それを見て、私の腕は勝手に動き出した。
『お、おおっとー!? 九条蓬さんの腕が止まらないー! 妹の応援の力なのか!?』
隣にいる綴が『シスコン……』という完全にわかるドン引きの目を向けてきた。
こいつ、マジ後でシバく。
そして、ホイッスルの音が響いた。
『さあ、玉はいくつ入っているか!? まずは一年生! ……こ、これは驚いた! 合計87個だー!』
この程度か。まあ綴がやる気ないししょうがない。



