腹黒王子様は、孤独なシンデレラに愛を抱く。

「てかさん付けも敬語もいらねーって。別に綴でいいのに」

「じゃあお言葉に甘えて」

「判断早っ。普通ここは女子らしくごねるとこだろ」

「私普通の女子じゃないから」



砕けた態度が取られるのが綴は好きだと気づいた。

だからあえてそういう態度を取る。



「てか、たしかにあんた最近色気ヤバイよな。毎日翠とヤッてんだろ?」

「っ、はぁ!?」



こいつは何を言ってるんだ!!

私は水分補給をしていた水筒を口元から離した。

危ない、危うく吹くところだった。



「は、ハチマキ取れかけてる。直してあげる」

「はっ、嘘下手くそー。そんなんでよく演じ切れてたな。てかマジ? 翠って絶対絶倫だよな。一日何回? やっぱ数回はする?」

「お前それ以上言ったらコロス」

「悪いって」



ハチマキを直しながら顔を赤面させる。

そんな私を、翠さんが見ていることも知らずに。