腹黒王子様は、孤独なシンデレラに愛を抱く。

唇には少し届かなくて、頬にキスをした。



「唇には届かないんですよ。やっぱり引っ張るのはネクタイじゃなきゃ……ですね?」



その瞬間、翠さんが顔を手で覆った。



「やっぱり、男誘ってるよね?」

「どこがですか。男の気持ちは知りません」

「ほんと冷徹な子」

「でも、そんな私を好きになったんでしょう? 私は手放していいって言いました」



すると、翠さんは笑い出した。



「もうこんなのプロポーズの返事じゃないじゃーん。蓬らしいっちゃ、らしいけど」

「プロポーズの返事なんて、とっくの前に知ってるでしょ」

「恥ずかしがってる? かわい〜」



とにかく可愛いを連呼したいらしい。

この男は本当に掴めない奴だ。



「……今後とも、よろしくお願いします」

「ふふーん。マジかわい〜!!」



あまりにもキツく抱きしめてきたものだから、股間を膝で蹴った。



「ッ、いっ、だ、あ゙〜〜……!!!」



あまりにものリアクションに、笑いが込み上げてきた。

結構優しく蹴ったつもりなんだけど、人体の不思議だ。