「ねぇ」



私は机を叩いた。

目の前には、両親がいる。

そして、隣には翠さんが。



「何か娘に言うことはないの? あなたたちの口から謝罪の言葉は出せないの?」

「チッ……」



舌打ちをして睨んできたけど、もう何も怖くない。

橙華は冬月さんの家で預かってもらっているから、今はこの場にいない。

もう、会わせたくない。



「蓬、嘘でしょう? まったく、お母さんたちを困らせるなんて……もしかして、橙華の悪知恵かしら? あの子の言うことなんていいことないわ。ほら、戻ってきなさい」



父親は睨んでくる中、母親はまだ私に縋りついてくる。

伸ばしてきた手を、私は振り払った。



「悪かったわね。あなたたちの思っていた“優秀な娘”はいないのよ。表面上のいい子を演じていただけで、あなたたちに同情の気持ちなんて欠片もないから」

「なっ……!!」

「今日は処罰を決めに来ただけ。で、どうするの? 翠さんがお情けで雑用を与えてくれるみたいだけど」