「……私、護れなかったよ……?」



弱々しい私の言葉に、橙華は頭を撫でてきて、首を横に振った。



「ううん。お姉ちゃんはずっと、私のために人生を懸けてくれてたんだね……。ごめん、ごめん……! 私、そんなのも知らずに、あんな態度……!」

「ち、がう……」



私が、この役を買って出たんだ。

って言おうとしたのに、声が出なかった。

そんな自分に、本当はこんな役嫌だったんだと、現実を見た気がした。



「橙華のためなら、私、どんなこともできるから……。手だって汚すし、演じるし、裏切れる。でも、翠さんのおかげで、橙華に堂々とできる姉になれたと思う」

「ううん。最初からお姉ちゃんは、私の自慢だよ。ありがとう。私を護ってくれて……」



気づけば、抱きしめ合っていた私たちに拍手が巻き起こっていた。

翠さんたちは微笑んで見守っていてくれた。

その姿に、心が温かくなった。

そして、親たちは必要最低限の金と家を渡すことを条件に失脚。

その家は加賀美家の所有地だから、悪いことはできないだろう。

自分たちからお金を要求するなんて図々しいと思っていたが、死なれては困るので、条件を飲むことにした。

そうして、私の長年の執念の末、幕を閉じたのだった。