腹黒王子様は、孤独なシンデレラに愛を抱く。

無理やり揺さぶられた反動で、頭がグワンとする。

このまま連れて行かれる? と思って脳をフル回転させていたとき。



「そこまでです」



現れたのは、和葉だった。

私ですら見たことのない、細い形をした睨みつける瞳。

雰囲気は漏らすくらいに怖い。

親たちも、こんな和葉を見たことがないから驚いていた。



「な、なんだ和葉か。ちょうどいい、蓬を説得してくれ。どうにも加賀美翠と関わっておかしくなったみたいだ」

「はぁ?」



翠さんと関わったからおかしくなった?

翠さんがおかしくしてくれたんだ。

本音を言える勇気を、本心を見せる相手として教えてくれた。

そもそも、黒い気持ちはそのものだ。



「バッカじゃねぇの」

「え」



和葉がまさか、そんなことを言うとは思っていなかった。

こんな……周りの空気が壊れそうなくらい怖い顔で。