腹黒王子様は、孤独なシンデレラに愛を抱く。

「蓬、来い」

「いいいいい嫌です」

「いいから来い。んな汚ぇ体で触りたくねぇ」

「きたな……い」



翠さんの言葉で、目が覚めた。

そうだ、私は汚い。翠さんに、触れない。

必然的に後退りをしたとき、視界がぐらりと歪んだ。



「蓬!?」



倒れてしまう体をすぐに翠さんが支えてくれて、なんとか持ちこたえた。



「す、すみません……。まだ熱が治まってなかったみたいで……」

「まったく。早くベッド行きね」

「はーい」



大人しくベッドに寝そべったとき、冬月さんが動いた。




「翠、そろそろ……」

「あー、もうこんな時間か」



突然翠さんに話しかけた冬月さん。

いったいなんだと顔をしかめると、翠さんは優しく頭を撫でてきた。



「俺は体育館で説明してくる。その間、蓬はここにいてくれ」

「え……橙華と和葉は?」

「一応目撃者として連れて行く。まあ、一意見者としてだけど」