私たちは本心を伝え合って和解し合ったあと、ずっと抱きしめ合っていた。
「蓬、そろそろ聞かせてもらっていー?」
「え……? 何をです?」
熱もいろんな意味で引いて、もうすっかり元気だった。
「んー、どういう経緯で“こうなった”のか」
「……」
その瞳に写る意図を読み取り、口を開いた。
「調べたと思いますが、橙華が政略結婚をさせられそうになりました。桜小路家の40過ぎのおじさんです。……私は、橙華を守るために婚約者になりました」
そう答えると、翠さんは不満そうに頬をムニュッと掴んできた。
「んんんっ? なんでふか?」
目を開けると、それは黒く笑う翠さんの顔がドアップで……。
ひっ、と怯えると、もっと翠さんは微笑んだ。
「そーゆこと聞いてるんじゃないんだよねぇ。体、触られたか聞いてんの」
「……え」
思い返すと……と考えていると、翠さんの瞼がピクピクした。
まずい。



