「───まったく、これはお気に召さなかったのかなー? ね、蓬」

「……っ、ホント、そういうとこ、ズルいですよ……」



目の前に差し出された、青紫色の宝石が付いたブレスレット。

───こういうことしてくるから、ズルい。



「───俺と、結婚して」



この人のそばにいれるなら、私は運命に抗う。

この人に、触れていたい。



「ずっとそばに、いさせてください……!」



自分から、唇を重ねた。

もう、いつもみたいに諦めたりしない。

ずっと、そばに───。



「ははっ、それ、答えじゃないじゃん。ま、可愛いからなんでもいーや」

「っ……」



顔が熱を帯びる。

可愛いなんて、言われ慣れてなくて……。

どうしても恥ずかしかった。



「もう二度と、手放さないから。

───もう絶対、逃がしはしない」


「っ……」



その瞳に囚われて。

逃げ出すことは、もうできないです。