翠さんの温かい瞳と、涙でボヤけた視界が交じった。
翠さんは、ぎゅうっと抱きついてきて……。
「また背負わせてごめん。もう、絶対手放さない」
「……!」
今までにない、優しい声で……。
涙が、止まらなかった。
「ごめ、んなさい……っ!! 私、私……翠さんのこと、裏切って……!!」
いろんな感情がぐちゃぐちゃになって、翠さんに泣きついた。
惨めだってわかってる。裏切ったくせに、許しを乞うなんて。
でも……。
「翠さんが、大好きです……! 私、もう、嘘はつけません……っ」
大好きな匂いがする、温かい胸に飛び込んだ。
翠さんは何も言わず、頭を撫でてくれた。
返答はないのに、なぜか安心する。
「───蓬」
そう優しく呼ばれて、顔を上げた。
翠さんはポケットから何かを取り出した。
それは───。



