腹黒王子様は、孤独なシンデレラに愛を抱く。

本当は、振り返って橙華の手を握りしめて、抱きしめて言いたかった。

『大丈夫』、『私が守る』って……。

でも、橙華にとったらそれは、なんの保証もない上辺だけの言葉。

それを考えてしまって、言えなかった。

どんなに暴言を吐かれても、どんなに八つ当たりされたって……。


───橙華は、たった一人の妹だから。



「……橙華、大丈夫だよ……」

「っ、え」

「蓬!?」



過去の記憶から起き上がった私は、橙華の手をしっかりと握りしめた。

次は、ちゃんと言えるよ……。


『橙華、私は絶対───』

『喋りかけないで』

『……ごめん』


今なら、自信を持って……。



「橙華、大丈夫だよ……」



そう、言える。

私は、口を開いてゆっくり喋った。