腹黒王子様は、孤独なシンデレラに愛を抱く。

今まで、どんな人でも思い通りに動かすことができた。

自分のペースに乗せて操ることだって。

なのに翠さんは、思った通りにならない。

いつもなら、ムカついて興味をなくすのに。

───どうして、こんなに好きなんだろう。

それに……。



「君に親の目が飛んでいかないように、蓬はずっといろんなことで功績を残してきた。九条家に身を捧げて」

「ぁ……」

「本当は心許せる友達を作って、放課後たくさん遊んでみたかっただろうに。本当は好きなことをしながら学園生活を過ごしたかっただろうに。ずっと君のために我慢してたんだよ」



嘘が過ぎる。

私は今まで友達をつくりたいとか、放課後遊んでみたいとか思ったことはない。

橙華のために我慢していたことなんて、一度もない。

あったとしても、それは翠さんのことだけ。

それほど、関係ないことには興味がないから。

翠さんの嘘に呆れていた瞬間───。



「ごめ……っ、ごめんなさい……!! ごめん、ごめん、お姉ちゃん……!!」