「わかんないよ。君の言う通り、“恵まれてる”から。でも、蓬は本当に恵まれたと言える?」

「……何言ってるんですか。当たり前でしょう。周りからチヤホヤされて、人気者で。親からも、周りからも信頼が厚くて、幸せに包まれてる。これのどこが恵まれてないんですか」

「……はぁ」



翠、さん……。

翠さんと橙華の二人のやり取りは、私が驚くものばかりだった。

ああ、そっか……。

翠さんは、私のために橙華を説得してくれてるんだ。

でも、私の存在が橙華を傷つけてきたのは事実。

そんな私に、橙華とまた仲良くする権利なんてない。

目に涙を浮かべていると、綴さんが入ってきた。

話はいつの間にか留年の話に。



「去年、君は留年だと決まったとき、蓬はどうしたと思う?」



翠さん、まさか……。