腹黒王子様は、孤独なシンデレラに愛を抱く。

「翠さん」



考えていると、涙が出てきそうだった。

だから、もう終わりにしようと思ってゆっくりと口を開いた。



「決まったことなので、もう口を挟まないでください。学校でも話しかけないでください。今まで本当に、ありがとうございました」

《ちょっ、蓬───》



プツリと音を立てて切れた電話。

ああ、最後なんだ。


───コンコンッ。



「ん……? はーい」



誰かと思い、扉を開けると、そこには和葉が立っていた。



「和葉? どうしたの?」

「……本当に、いいんですか?」

「え?」



急に何を言い出すのかと思うと……。



「本当に、諦めてしまうんですね?」



真剣な目をした和葉。

その口から出てきたのは、望んでいない言葉。

もう、望んでも戻れないのに。



「もう、何も言わないで」



和葉を置いて、廊下を走る。

うるさい、うるさい……っ。

もう、やめて……。



「無理に、決まってんじゃん……」



ポロポロと、床に涙が落ちた。