俺は昔から、死んだように生きてきた。 感情が乏しく、演じることに慣れていた。 心臓の音も聞こえないほど、暗い日々だった。 でも、蓬と出会ってから─── 『私のこと、ナメてたら痛い目あうわよ』 世界が、180度変わった。 心臓の音も、鼓動が鳴る音も。 全てが聞こえるようになった。 凛とした立ち振る舞い、淡々とした表情。 なのに、男慣れしてないとこ。 ときに見せる、弱い部分。 その全てが、愛おしかった。