腹黒王子様は、孤独なシンデレラに愛を抱く。

「……好きなこと、ね」



私の夢は、なんだったんだろう。

私の夢は、とっくになくなった。



「死ぬほど、好きでしたよ───翠さん」



愛したかった。愛して欲しかった。

また、あの温かさに包まれたい。



「心臓って、こんなに痛くなるんですね……」



痛みを知ったのも、翠さんのおかげ。

でも、感情を浮き彫りされたから、痛みも感じるようになってしまった。

これから、同じ生活に戻るだけだ。

自分自身が消えたことに傷つかないように、苦しさが紛れるように、心を鈍らせるだけ。

そう、前と同じ……。



───『蓬、愛してる』



「っ……」



忘れられるわけ、ないじゃないですか……っ。



「出会いたくなんか、なかったです……」



出会わなかったら、楽だったのに───。