もし今でもあのアパートに暮らしていたら、晃司が押しかけてこないとも限らない。

今のこの幸せを絶対に壊したくなかった。
「なみちゃんいたぁい」

「ごめんごめん」
つい奈美を強く抱きしめすぎていたみたいだ。

それでも手の力を緩める気にはなれなかったのだった。