会社への妊娠報告を終えたあとは、両親への妊娠報告をする番だった。
稔と共にこの子を育てる。

そう心に決めたものの、さすがに緊張してきてしまう。
「大丈夫?」

電車で隣に座る稔が杏奈の手を握りしめてくる。
「うん。緊張しちゃって」

今日は稔の実家に行く予定だ。
幼馴染だから両親の顔も知っているが、もう何年も会っていない。

おじさんおばさんは今どうなっているだろうか。

「俺の両親に緊張することはないよ。杏奈のことはよく知ってるんだし。杏奈と結婚するって連絡したら喜んでくれたよ」

「うん……」