その温もりが心地よくて、つい甘えてしまいそうになる。
「俺、ずっと杏奈のことが好きだったんだ」

「え……」
突然の告白に驚き、目のやり場に困ってしまう。

杏奈は自分の腹部に置かれている稔の手に視線を落とした。
「子供の頃の約束、覚えてる?」

聞かれてすぐに思い出したのは、結婚しようという約束のことだった。
だけどあれはただの口約束で、子供の頃誰もが経験するような約束だった。

だから杏奈は左右に首を振った。
すると稔はすねたように唇を尖らせると「俺は、忘れたことなんてなかった」

と、言った。
杏奈はおずおずと顔を上げる。