それから稔は本当に杏奈の部屋から職場までの通勤を始めた。
朝はやく出て、夜遅く帰ってくる。

どれだけ朝が早くても稔は朝食の準備と杏奈のお弁当作りを率先してくれた。
妊婦には適度な運動も必要なのだと、杏奈に合わせた運動表まで作ってくれたくらいだ。

「どうしてそんなにしてくれるの?」
杏奈は稔が作ってくれた朝食を口に運びながらそう聞いた。

今日はふたりとも休日だった。
「どうしてって、今が一番大切な時期だからに決まってるだろ」

「でも、この子と稔くんはなにも関係ないのに」
「関係あるよ」

稔の手が杏奈の腹部に触れる。