三者面談が終わった日の鈴原くんたちが帰ったあと、桜ちゃんから嬉しい連絡があった。


『加藤と付き合う事になったよ』

『わぁー!!!本当におめでとう!!!!』


嬉し過ぎて夜中まで喋り続けちゃった。


鈴原くんや足立くんにも翌日報告があり、みんなで祝福。

本当に自分の事のように嬉しかった。


そして、気づけば夏休み。



夏休みに入ってからは例年通り宿題に励み、1週間で終わってしまった。


受験に向けて本屋さんで買った参考書を読んで勉強しよう。



ふとよぎる、鈴原くんの事。

今頃、練習頑張ってるかなぁ。
あっコンクールの日まで、あと2週間ほど。

夏休みに入って以来、まだ連絡を取っていない。


邪魔をしたくない。




はっ!!!

気づけば3時間ほど経っていて13時を回っていた。

結構集中して勉強できたな…。
お昼ご飯でも食べようっと。


スマホを見ると不在着信が1件。

「足立くんからだ」

30分ほど前にかかってきていた。
急いでかけ直す。



プルルルルー…

出ないなぁ。何かあったかな?



諦めて切ろうとした時やっと繋がった。


「…もしもし」

「足立くん?ごめんなさい、電話気づかなくて」


なんだか、ちょっと声がおかしい?ような?


「ケホ…あれ?電話かけてた?ごめん、間違ってかけてしまってたかも…ゴホゴホ…‼︎」

「風邪!?大丈夫ですか!?」

「あー、大丈夫。昨日からおかしいなって思ってたら今朝からちょっと…ゴホッ」

「病院行きましたか!?ご飯は!?お母さんたちいる!?」


病人に質問攻めの私。


「ありがとう、大丈夫だよ。また連絡するね」

「足立くん…!」

電話は切れてしまった。



どうしよう…
あの様子だと、絶対ご両親いないよね。


心配過ぎる…
でも勝手には……


居ても立っても居られず、私はすぐに家を出た。


薬局に行って薬を買って、スーパーで買い物をして足立くんの家へやってきた。

マンションの入り口で立ちすくむ。
勢いで来ちゃったけど…やっぱり迷惑じゃないかな。
どうしよう…


電話の様子を思い出す。

ううん!
やっぱり心配!

迷惑だったら、買ってきたものだけ渡して帰ろう!

そう決意して、エントランスのインターホンを鳴らした。

確かこの部屋番号だったよね?


間違ってたらどうしよう…と押してから不安になりだす私。


しばらくしてから

「えっ…日和!?」

と足立くんの声が聞こえた。

よかった!合ってた!


「足立くん、急にごめんね。少しお邪魔していいですか?」

「どうしたんだよ…ゴホッ…とりあえず開けるな」

そう言って自動ドアを開けてくれた。


「ありがとう」

私は足立くんの部屋まで急いだ。