クラスの扉を開ける。

賑わう教室内。

でも、挨拶をする子もいない。

いつものように無言で席に向かうと


「おはよう…ってあれ?前川、髪くくってる!」

顔を覗き込んできた加藤くん。


「わ!」
驚きのあまり後退り。


「可愛いじゃん!似合ってる!」

そう言いながら無邪気に笑う。


思わずドキッとする私。
え!?ドキって何!!??
可愛いって何!!??


「おはよう。。ありがとう。。」

慣れていない言葉に動揺を隠せず、ぼそっとしか挨拶ができなかった。


加藤くんは本当に不思議。
こんな私に親しく話してくれる。


「前川、昨日もありがとうな。俺、次は絶対行くから」

「委員会の事?無理しなくて大丈夫だよ」


会話中、予鈴がなる。

みんな席に着く。
加藤くんは私の左隣。


「一緒に行きたいから」

そう左隣から聞こえた。


驚いて私が振り向くと

「なーんてね♪」

にーっと笑いながら言った。



「もう!意味わかんない」

今日は朝から驚かされてばかり。
加藤くんにもからかわれるし、何なのよ。


「でも」

担任の先生が話し出すと、小声で


「行くのは本当だから」

そう言って優しく笑った。



私は恥ずかしくて、ぷいっと目を逸らしてしまった。


今日の加藤くん、なんか変だ。