次の日の朝。
木曜日の朝。

洗面所の前でいそいそと寝癖を直す。

うーん、なかなか直らないなぁ。

今日に限って寝癖が直らずポニーテールに。


家を出る直前、リビングにいるお母さんに

「髪、変じゃない?」
と聞くと、びっくりした様子のお母さん。

「え、どうしたの?」
そんなお母さんにさらに質問。

「そんな事を言うの久しぶりだなと思って」
お母さんはなんだか嬉しそう。

急に恥ずかしくなりお母さんの答えも聞かず家を出ようとすると

「充分可愛いわよ。行ってらっしゃい」
お母さんが笑顔で見送ってくれた。

私は照れ隠しで「ありがと!」と簡単に済ませて走って学校へ向かった。


そういえば、髪型を気にしたのはいつぶりだろう。

多少寝癖が直らないままでも、何も気にせず学校に行っていた。
化粧だってしない。

だって、する必要もないし。

中学2年の頃を機に、異性を意識する事もなくなった。
正確に言えば、しないようにする事にした。
もうあんな思いはしたくないから。

そんな事を考えていたら、自分を構う必要も感じなくなり今の自分がいる。