「好きです、付き合ってくださいっ……!」


誰もいない裏庭で1つの声が響き渡る。


そして、目の前にいる男子が勢いよく頭を下げた。





「………」


困った。

誰だろう。


上履きが同じ色だから……あたしと同じ1年?



「……」


何度見ても、頭を下げている男子は知らない人で。


きっと話したこともない。





『裏庭で待ってます』


下駄箱にメモ書きのような紙が入ってて、帰ろうとしたあたしは慌てて裏庭に向かったのだけど……。





「ごめんなさい」


あたしも目の前にいる男子に負けないくらい頭を下げた。


「あたし、あなたの名前も知らなくて……」

「俺の名前は───」

「本当にごめんなさい」


その言葉を遮ってまで、もう一度頭を下げた。


名前を聞いたからって返事が変わるわけじゃない。