「で、俺にとっての番が空咲だったってこと。」

「なんで私な、の……っ?!」

ちょっと待って、その番って人が私な訳ないよ!?

夜霧くんみたいなイケメンにつり合うわけ無いし。

「何でかは俺も知らない。でも分かるんだ。血の匂いと味で。今まで、直接血を吸ったのは家族と、もう2人。お前の前に1人と空咲、お前だけ。」

「そ、それで…?」

「空咲の血が特別な味だった。一口でこの人が俺の番だってわかった。」

「…っ。」

驚きで言葉も出ないっ。

初めての彼氏は自分から好きになった人が良かったんだけど…。

「空咲が俺をそう意味で好きじゃないのも分かってる。男子が苦手な事も分かってる。俺もまだそういう気持ちなのかは分からない。」

夜霧くんはまた一息ついた。

「……だから3ヶ月試してみない?俺も好きになって貰えるように努力するし、好きになれるようにも努力する。」

なんか、夜霧くんじゃないみたい。

いつもの余裕そうな顔、少し冷たい声、今はそんなんじゃなくて、真剣で、ちょっと焦ってる顔、真っ直ぐで、いつもと正反対の雰囲気の声。

ここまで真剣な夜霧くん見たことない。

しかも、私にもいい機会なのかもしれない…、男の子と上手く話せるようになるかも…!

私が夜霧くんにつり合わないことなんて分かってるし、番なんてきっと間違い。

私だってこんなことにならなかったら絶対に自分からは無い。

でも、私だって男の子と上手く話したいし、恋もしてみたいっ。

そのきっかけになるなら………。
3ヶ月だけでも……。

「分かり、ましたっ。お試しでいいなら…。」

「!…よかった。じゃあ、よろしく。」