芸能人スカウト、まさかの私に!?

「悪いけど佐藤さん、ルウにはそういうの絶対にやらせねーから」

「ルウちゃんはそういうの苦手なんです。申し訳ないですが、お引き取りください」
 
 二人が壁のようにして、佐藤さんの前に立った。
 背がおっきい~!
 二人共、190センチ近くあるから……。
 って!? 周りからも更に注目されちゃってる!

「あら、イケメン二人のあなた達には聞いていないのよ。ねぇお嬢さん興味ない? 芸能界いいわよ! アイドルになりたくない? 貴女の答えが聞きたいわ~!!」

 佐藤さん、押しが強い!

「あ、あの……私、無理です。目立つのとか……苦手だから……」

「まぁ!? そのダイヤな輝きっぷりで!? その顔面偏差値で!? もったいないわ!!」

「む、無理です……ごめんなさい! 行こう! お兄ちゃん! 私、ポップコーンはキャラメルがいい!」

 私、目立つのとか大の苦手!!

 今は肩出しワンピとか着てるけど、パパが再婚するまでは……お兄ちゃん達に会うまでは、全然違った。

 顔を隠すような前髪にして、メガネして、マスクして……服とか何が良いのか、わからなくって……。
 自分に自信もなくって、隠れるように過ごしてた。

 パパは私を沢山可愛がってくれてたけど、やっぱり仕事も忙しいし……一人の時間も多い。

 それにパパも研究員で、服とか興味ない人だったからね。

 二人でいつもグレーのトレーナーに、ジーンズで過ごしてた。
 その服も気に入ってたけど、オシャレではないからね。

 半年前にお兄ちゃん達も人間界で、マリアさんの息子になったんだ。

 だから私は、お兄ちゃん達に会ったのは結婚する数日前で……!
 
 突然の面会だった!

 私はその時もダサダサだったのに……二人は私を見て……。

「めっちゃ可愛いじゃん! 俺の妹にふさわしいな! よろしくな! ひよこほっぺ!」

「すごく可愛くてびっくりしちゃった。よろしくね、ルウちゃん」

 って言ったんだよ。

 それから私は、まるで魔法をかけられたシンデレラみたいに……。
 二人の愛で、みるみる変わる事ができたの。

 鏡を見たら、びっくり! シンデレラだよ!
 ……鏡は、白雪姫だっけ?
 
 でもね、目立つのとかは苦手のまま!
 芸能人なんか絶対無理!

 それを知っているから二人は断ってくれたの。

「お、お兄ちゃん……? まさか二人の妹なの……? わーお! 絶対逃さないわよ! ルウちゃん!」
 
 驚いていたけど、佐藤さんが追って来ることはなかったから、ホッとした。

 ポップコーンにジュースも買えたよ~。
 私を真ん中にして、ゆったりした席で三人並んで映画を見た。

 二日連続映画も初めて!