翌日の放課後。


私はスクールバッグを手に、教室からグラウンドへと行きかけた足を止めた。


帰宅部の私は、今まで放課後はグラウンドで陸斗くんが所属するサッカー部の練習を見てから帰るのが習慣となっていたのだけど。


そっか。今日からはもう、グラウンドへ行く必要はないんだ。

だって昨日、私は陸斗くんに振られちゃったから。

昨日のことを思い出しただけで、胸がちくっと痛む。


「おい、希空!」


突然名前を呼ばれてそちらを向くと、海斗くんが立っていた。


「お前、今日ヒマ?」

「うん。家に帰るだけだけど」

「それなら、今日はバスケ部の練習を見に来てよ」

「え、バスケ部の?」

「ああ。たまには良いだろ? 俺、希空に応援に来て欲しい。今日絶対にシュート決めるからさ」


真っ直ぐこちらを見てくる海斗くんに、不覚にも胸がドキドキしてしまう。


「俺、体育館で待ってるから」


それだけ言うと、海斗くんは教室を出て行った。