たった独りの物語~私を殺そうとしている女の子を自分の手で育ててしまいました~



ぷっくりと涙が浮かんで,ぎゅっと表情が真ん中に苦しそうに集まる。

堪えるように結ばれた唇は,皺が出来ていた。

その顔を見て,私は驚く。



「エルさん……」



弱々しく,すがるように放たれた言葉。

私は驚いた気がしただけで,いつかこんな日が来ると分かっていた。

素直に喜べないエヴィーも,同じ。

履修が予定よりも早まったのは,そんな私にエヴィーが真摯に応えたから。

悲しみを堪えて,向き合ってくれたから。

エヴィーの修了は,"卒業"も同意だ。



「エルさん,私……っ」

「おめでとう,エヴィー。エヴァ·ルイス。あなたの師匠になって,もう3年になるなんて。信じられないわ。
でもそんな短くて長い期間で,あなたは随分立派になった。師匠として誇らしいくらいよ」