たった独りの物語~私を殺そうとしている女の子を自分の手で育ててしまいました~




「どうやって作ったの?! でも,あの短時間で沢山色んなことしたんでしょうっ。魔力量が多いのね!」

「それは…」



(あなたもでしょう)



他人の魔力を感知できる人間なんて,私のように同じ魔力を体内に多く保有する者くらい。

魔力の探知は,厳密には人間自身が行うものではないから。

自分の魔力が他の魔力に反応して揺れ動く振動で,人間自身も察知することが出来るだけのこと。

要するに魔力の探知は,魔力を多く保有するものだけに現れる魔法の副産物と言ったところだろうか。

それもよほど多くない限りこうはならない。



(この子の魔力は,もしかしたら私と同じくらいか,それ以上の可能性もある。少なくとも,王直属魔法騎士団長クラス以上……)



けれど私は余計な詮索を好まない。

いいかけた言葉を飲み込んで,代わりに家の戸を開いた。



「ほら,座って。パンでも焼くわ,お望み通り,兎の肉もね」

「ふふ。至れり尽くせり。今度お礼に来るね」

「来なくていいわ」



刺客に人違いで刺されたり,王室に囚われたりしたくはないでしょう。