たった独りの物語~私を殺そうとしている女の子を自分の手で育ててしまいました~




ーーヒュー~ッ…バチバチバチバチバチ…ッパァァアン!!!!



高く飛ばした玉は,更に打ち上がり,3色の大きな花を咲かせる。  

火薬玉の紙の部分·着火部分をスチールウールで応用したせいで,行程がずいぶんと多くなってしまった。



(柄にもなく骨の折れることをしてしまったわ)



「わあ……! 花火!! もうすぐ冬なのにいいの……?!?」



その喜んでいる姿を横目に見る。

無防備,無警戒,おまけにフードを引っ掛けるドジ。



(こんなもので喜べるなんて,年の割に単純)



やはり迷子で間違いない。



(でもおかしいわ。かなり高圧的な王室の態度で,ここ数年は森一帯が立ち入り禁止になっているのに)



私がここに移り住んで半年たった頃。

私が王室と起こしたいざこざを発端に,民にはその意味を知らせず,確かに立ち入り禁止令を発令していた。

刺客を止めないと言うことは,私を諦めたわけでもないだろう。

ではなぜ目の前の女の子がここにいるのか。

この森には大した貴重な薬草も,なにもないと言うのに。

まさか,この年になって文字が読めない,発令を知らないと言ったことはないはずだけど。