今日はここまで。
そう伝えるように,ゆっくりと語る。
「それに,最初に教えた発現は,口の中で行うか手のひらを口に当てるかすることで,息苦しい水中でも呼吸が可能になるわ。護身のために覚えておきなさい」
「は……い,師匠」
頷いたエヴィーは,呆然と思考していた。
「今日はもう帰りなさい。ノート代わりにその走り書きをあげる。次からは自分でメモするのよ。その方が覚えられるから」
「うん,うん……!」
「それからくれぐれも,私について他人に話さないように」
エヴィーがどこかぽうっとしているうちに。
エヴィーをまたあのトロッコに乗せた私は,さくっと森を追い出した。



