たった独りの物語~私を殺そうとしている女の子を自分の手で育ててしまいました~



エヴィーは驚いていた。

その様子が私の望み通りだったので,少しだけいたずらな気持ちになる。



「でも,魔力は消費されたでしょう」



エヴィーはこくこくと何度も肯首して目を輝かせた。

昔のクレア先生にそっくりで,少し懐かしい。



「もうひとつがこれ」



再び同じ動作をする。



「さっきと違う感覚……でもみえない」

「そうね。同じ目にみえないものでも,さっきとは違うものを発現させたからよ。
次は1人で同時に発現してみなさい。そうね,両手を合わせて」



エヴィーが言われた通りに動く間,私はさらさらと紙にペンを走らせた。



「いい? これが最初に発現させたもの,これがそのつぎ。=で結ばれたものが,今本当に発現させたいものよ」



こくんと頷いて,エヴィーは魔法を発現させる。

少しでいいと助言すると,エヴィーの手のひらはびっしょりと湿っていた。