たった独りの物語~私を殺そうとしている女の子を自分の手で育ててしまいました~



「あなたが水だと思って発現させてるそれも,厳密には軟水。硬水なら,簡単にお腹を壊すでしょうね」

(脅かしすぎたかしら)



「じゃあ,やってみましょうか。レシピだけ先に教えても発現できなければ意味がないわ」



私はエヴィーの手を取る。

エヴィーは何かに気がついて,まんまるの目で私を見た。

そう,これは魔法解放の儀。

3歳頃に終えた後は,もう二度とやらないのが世の常だった。

でも,それは必要がないと思われていたから。



(エヴィーは驚いたでしょうね)



しかもこれから行うのは,普段やっている水の発現について。



「じゃあ,軟水を作ってみましょうか」



エヴィーは予想通り困惑したようだったけれど,なにも言わず私の動きを待った。



(やっぱり,とてもいい子ね)



取った手をぎゅっと握り込んで,材料のひとつを発現する。



「何も,見えない」