たった独りの物語~私を殺そうとしている女の子を自分の手で育ててしまいました~



「お姉さんなら,きっと出来るんじゃないかって……!」

「……強くって,あなた……魔導師にでもなるの? それとも騎士?」



失礼だけど,とても自己·知的の探求を求めるような人格には見えない。



「えへへ,そんなところ。うちのお偉いさんがね,すっごく横暴で。やり方も教えてくれないのに,『それじゃ勝てない!』って毎日毎日皆のプライドぼきぼきにするの。そんなの悔しいじゃない?」

「そう。でもそれじゃあ,私にはあなたを弟子にするメリットは無いのだけど?」

「うん。だからね,なんでもするよ! 炊事洗濯·畑でも鶏の世話でも。毎日40分かけて来て,来る時は何でも持ってきてあげる。どう? こんな森の奥じゃ不便でしょ?」



(なるほどね)

その子なりに,私を陥落させる方法を考えてきたようだった。

まだまだ爪が甘い,子供のような提案。

けれど案外,悪くない。