たった独りの物語~私を殺そうとしている女の子を自分の手で育ててしまいました~

私に実際に襲われても何故そんなことが言えるの?



「もうこんなことやめよう。私達がエルさんを傷つけられないように守るから。エルさんも」

「うるさい……黙りなさいエヴィー。それ以上はたとえあなたでも許さないわ。わたしはエヴィーのもとには行かないと,もう答えたでしょう」



他人の思い通りに動くのはもううんざりだ。



「一緒に研究した人がいたんでしょう? エルさんを慕う人も,エルさんを待ってる人もきっとまだ」



(うる……さい)



そうだったらいいと,何度思ったのか分からない。

エヴィーは私のためを思っていっていると,見ていたら分かる。



(だけど全部全部余計なお世話。父に売られ,母に泣かれ。他人の命と引き換えに逃げ出したその後に,天涯孤独とまでなったのは,1番心を許したハリーのせい)


私の弟子として多少なりとも可愛がっていたエヴィーが私に魔法を乞おうとしたのも,全ては私を殺したいがための王の計画があってこそ。

こんな悲劇が,一体どこを探せば見つかるだろう。