皇帝陛下がやっぱり離縁したくないと言ってくるのですが、お飾り妃の私が伝説の聖女の生まれ変わりだからですか?

今日もエリーヌに起こされるとは思わなかったのだろう。


「おはようございます」
「おはよう。また寝過ごしてしまったようだな」


リオネルは上体を起こし、片手で髪をかき上げた。サラサラの銀髪が指の間から零れ落ち、朝日に照らされて光る。男の色気にあてられ、エリーヌの鼓動が不規則なリズムを刻んだ。


「よく眠れたようですね」
「ああ。しかし不思議だな。これまで誰かに起こされて目覚めるなどなかったのに」
「もしかしたらですけど、これが関係しているのかもしれません」


エリーヌはリオネルの枕の下に忍ばせていた小さな巾着を取り出した。


「それは?」
「サシェです」


花を乾燥させ、オーガンジーの袋に詰めてリボンで結んだものだ。中にはジャスミンとスズランが入っている。