皇帝陛下がやっぱり離縁したくないと言ってくるのですが、お飾り妃の私が伝説の聖女の生まれ変わりだからですか?

いったいなにを尋ねたいのか、今ひとつわからない反応だ。まるで自分はオスカーではないような口ぶりに困惑する。


「大公殿下、妃殿下はこのあと予定が詰まっておりますので」


エリーヌが首を傾げて困っているのを見越し、ニコライは積み上げた本をそれとなく見せ、先を急いでいるとアピールする。


「それは失礼しました。ともかく、こうしてお会いできて大変うれしく思います。ではまた」


オスカーは〝こうしてお会いできて〟という部分をやけに強調し、エリーヌたちに背を向けた。


「なんなんでしょうね」
「ええ」


その背中を見送りながら、エリーヌはニコライと首を傾げ合った。


「では参りましょうか」


ニコライに促されて再び歩きはじめ、馬車に乗り込んだ。