片手に本を抱いた状態で、エリーヌはもういっぽうの手でドレスを摘まんだ。
リオネルの父である上皇には挨拶を済ませたが、オスカーにこうして面と向かうのは初めてである。
「どうかお気になさらず」
オスカーがエリーヌを制す。糸のように細い目に高い鼻梁は少し冷たい印象を受けるが、声色はやわらかい。左手首のバングルには、火属性を意味する赤い魔石が輝く。ダークグリーンのロングジレには金糸の糸で精緻な刺繍が施されていた。
しかし、なぜだろう。エリーヌは、なんとなく肌の表面が粟立つ感覚を覚えた。
「本当は昨日お目にかかりたかったのですが」
「どういったご用件でしょうか……」
「私が誰だかわかりませんか?」
オスカーがぐいと顔を突き出してきたため、エリーヌは半歩下がった。
ニコライがふたりの間に体を半分ほど入れてきたが、オスカーはそれを避けるようにしてエリーヌを凝視した。その目はなにかを期待しているようにも見える。
「オスカー大公殿下では……?」
「まぁそう、ですね」
リオネルの父である上皇には挨拶を済ませたが、オスカーにこうして面と向かうのは初めてである。
「どうかお気になさらず」
オスカーがエリーヌを制す。糸のように細い目に高い鼻梁は少し冷たい印象を受けるが、声色はやわらかい。左手首のバングルには、火属性を意味する赤い魔石が輝く。ダークグリーンのロングジレには金糸の糸で精緻な刺繍が施されていた。
しかし、なぜだろう。エリーヌは、なんとなく肌の表面が粟立つ感覚を覚えた。
「本当は昨日お目にかかりたかったのですが」
「どういったご用件でしょうか……」
「私が誰だかわかりませんか?」
オスカーがぐいと顔を突き出してきたため、エリーヌは半歩下がった。
ニコライがふたりの間に体を半分ほど入れてきたが、オスカーはそれを避けるようにしてエリーヌを凝視した。その目はなにかを期待しているようにも見える。
「オスカー大公殿下では……?」
「まぁそう、ですね」



