皇帝陛下がやっぱり離縁したくないと言ってくるのですが、お飾り妃の私が伝説の聖女の生まれ変わりだからですか?

「魔石の本を?」
「はい。私も自分の魔石が本当はどうなのか知りたいのです」


オーラをまとって産まれ、その魔力を石にしたというのに、なぜエリーヌには魔法が使えないのか。そんな事例はないと聞くのに。

魔法など使えなくてもいいと思ってきたが、これまでと違う想いが胸に芽生えていた。それはたぶん皇妃という立場になったからだろう。国の平和を願うリオネルの想いに触発されたのだ。


「ダメでしょうか?」
「もちろんいいに決まっているさ。今まで興味がないようだったのに、いきなり知りたいと言うものだから驚いただけだよ」


ダリルは目尻を下げて笑い、後ろの書棚から何冊もの文献を選んで机の上に積み上げた。


「こんなにたくさんよろしいんですか?」


その高さは五十センチにも及ぶ。冊数にしてざっと十はあるだろうか。


「エリーヌ殿がやる気になったのだ、どーんと貸し出しますよ。これくらいではまだ足りないのではないかな?」