皇帝陛下がやっぱり離縁したくないと言ってくるのですが、お飾り妃の私が伝説の聖女の生まれ変わりだからですか?

「ところで魔石のほうは、その後どのようなご様子で?」
「特に変化はありませんが……」


左手を彼のほうに向けつつ、自分も見る。

(……少し透明度が違う、かしら)

もともと透明だが、純度が増したように見えなくもない。


「うーむ、それほど変わりはなく見受けられますな」


ダリルが腕組みをして唸る。
やはりエリーヌの気のせいみたいだ。


「ただ、あちらは……」
「あちら?」


ダリルがひとり言のように呟いた言葉をエリーヌが拾ったが、彼は「あ、いや。ところで」と話題を変えた。

瑠璃宮での暮らしに不便はないか、食事は口に合うかなど、他愛のない会話を紡いでいく。
とはいえ、皇都に来てまだ日は浅い。不便というよりも慣れていないだけだ。


「ダリル様、私にも魔石に関する本を貸していただけませんか?」