皇帝陛下がやっぱり離縁したくないと言ってくるのですが、お飾り妃の私が伝説の聖女の生まれ変わりだからですか?


朝食後、リオネルは宮殿へ向かい、エリーヌは寝室に隣接する自室に戻ってきた。


「エリーヌ様、しばらくの間は瑠璃宮などでゆっくり過ごされると陛下より承っております」
「ええ、そうなの」
「しばらくはお体もお辛いでしょうし、私になんでもお申し付けください」
「……ありがとう」


アガットはリオネルとの夜伽について言っているのだろう。新婚だから、連夜営まれるのだろうと見越して。

実際にはそんな事態は永遠に訪れないため、なんともいえず気まずいし、心配してくれるアガットにも申し訳ない気持ちになる。


「それにしましても、皇帝陛下ととっても楽しそうな雰囲気でしたね。私、陛下が笑ったお顔を初めて拝見しました」


アガットは少し興奮気味だ。それだけ貴重な笑顔なのだろう。


「やはりあまり笑顔はお見せにならないの?」
「私はこれまでおそばに寄る機会はなかったのですが、ほかの者たちからはいつも険しい顔をしていらっしゃると。……っ、すみません、失礼なことを申し上げました!」