皇帝陛下がやっぱり離縁したくないと言ってくるのですが、お飾り妃の私が伝説の聖女の生まれ変わりだからですか?

リオネルが笑い飛ばす。

エリーヌは思わず真に受けてしまったが、そんなことは絶対にないと知っている。種を飲み込んだのを目撃されて焦ったがためだ。

そしてエリーヌは今、初めて見たリオネルの笑顔に見惚れていた。
それは給仕する者たちも同様なのか、顔を見合わせて驚いている。気難しそうに眉間に皺を寄せている表情が多いため、そのギャップのせいなのかもしれない。

エリーヌは鼓動が不規則に弾んだ。

その後はリオネルの許可が下りたため、サクランボの種は遠慮なく出すことにした。とはいえ手で口元を隠し、出した種にもべつのナプキンをかけて見えなくするなどの配慮は忘れなかった。