皇帝陛下がやっぱり離縁したくないと言ってくるのですが、お飾り妃の私が伝説の聖女の生まれ変わりだからですか?

エリーヌが考え事をしているうちに料理がサーブされていく。白パンやフレッシュジュース、レンズ豆のスープなどいい香りが漂ってくる。


「では、いただこう」
「はい、いただきます」


重量感のある白パンに手を伸ばし、ちぎって口へ運ぶ。もっちりとした食感はランシヨンの屋敷で食べていたものと同じだ。


「今日は魔石研究所へ行くと言っていたが」
「はい、そうしたいと思っています」
「では私の配下の者をひとり、キミのもとへ向かわせよう」
「あっ、いえ、そのようなお手間を取らせるわけにはまいりません。みなさん、お忙しいでしょうし、研究所の場所ならパーティーのときにお邪魔したのでわかります。私ひとりで大丈夫ですので」


皇帝陛下直属の人を使うなど恐れ多い。エリーヌの気まぐれに付き合わせるわけにはいかないのだ。


「そうはいない。キミは皇妃なのだぞ? 宮殿内とはいえ、警護をつけずに出歩くのは控えてくれ」


リオネルに注意されてハッとした。エリーヌは自覚が足りなかったようだ。