皇帝陛下がやっぱり離縁したくないと言ってくるのですが、お飾り妃の私が伝説の聖女の生まれ変わりだからですか?

どんな魔石にも色がある。だからこれは魔石とは異なるものに違いない。


「そうだろうか。ではなぜオーラを纏って産まれたと考えているのだ?」
「それは私にもわからないのですが……」
「もしかしたら今は発現していないだけで、なにか秘めている可能性も捨てきれない。ならば私と夜伽をして、キミに危険が及ぶ可能性もゼロではないだろう」


そこでエリーヌはハッとした。
リオネルは、エリーヌの身を案じてくれているのだ。金色の魔石には強大な力があるため、身の危険があるとすればエリーヌのほう。

子の存在が皇国の安定を脅かす存在になり得るのはもちろん、エリーヌを危険に晒さないためという一面もあることに気づいた。

皇帝として妻を召し取る必要に迫られ、周囲に説得される形でエリーヌを迎え入れたが、魔石保持者である以上、やすやすと手を出すわけにはいかないのだと。
周りの人間たちは体面を保つためにもっとも都合のいいエリーヌを選抜したのだろうが、リオネルはもっと深く考えていた。

他国に軍神と恐れられ、限られた人間にしか心を開かないと聞いていたリオネルは、実は思慮深く優しい人間なのではないか。
皇帝がそこまで考えているのに、エリーヌが反対するわけにはいかない。